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中村宏|図画事件 1953-2007@東京都現代美術館

c0060659_64855.jpg足を運んでから1ヶ月も経ち、そろそろ記憶も淘汰されたところで書いておきたいと思います。

MOTで開催中の4つの展覧会のうち、もっとも独特な後味を残すのが「中村宏|図画事件」でありました。
大規模回顧展は初となる中村宏(1932~)。本展でずらりと並んだ彼の軌跡を見る限り作風は50年間で次々に変遷し、若干不安定な感じも受けるのですが、基本的にその中心には具象表現による悪夢のようなイメージへの極端な愛情があるようです。

50年代までは左を茶化すような政治的カリカチュアが多く、また80年代以降は魂が抜けてしまったような拡大再生産ばかりでそれほど面白いとは思わなかったのだけど、60年代70年代、自分が楽しければそれでいいというような快楽主義的作品がたくさん生み出されている期間が、個人的には好みでした。この時期に彼の心を捉えて離さなかったのが、セーラー服を着た一つ目女学生機関車(無機物、機関)のイメージ。

c0060659_6482269.jpgそれらは《円環列車・A-望遠鏡列車》(1968年/上に画像をUP)のように、同じ隻眼としての望遠鏡を通して組み合わされたり、《F601機》(1970年/左に画像をUP)のようにむごたらしく合体したりする。
前者は太腿やふくらはぎの描き込みが奇妙に肉感的で生々しい―が、デフォルメの極致であるのは疑いない。
また、いくつかヴァリエーションのある後者の発想は(少女と機械、主従の逆はあれど)、いま氾濫する萌え擬人化表現の先駆なのかな。。いずれにせよ作者の個人的な、多分にセクシュアルな嗜好とは切り離せないところにあるようです。

一見するとこれらはシュルレアリスムの末裔的な表現なのかなとも思うんですが、英雄のようなご先祖たちのように何か革新的表現を目的に脂っぽく制作に励んでいるのではなく、彼はもっとずっと個人的な、自分ひとりの密室的な悦楽のためだけに作り上げたものをたまたま作品として提示してきただけなんじゃないでしょうか。分かり易すぎるイメージの奔流に騙されているだけで、画家本人はそんなに「狙ってない」感じがする。

7月から名古屋に巡回してくるようですね(名古屋市美術館?)。。いかにも混まなそうで嬉しいです。公式サイトはこちら
by Sonnenfleck | 2007-03-07 06:59 | 展覧会探検隊
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