フローベルガーはいまだに攻略半ばです。
幸せを大っぴらに謳歌することもなく、すべて濃い翳りに覆われた不思議な音符たち。旧仮名遣いの文章を読み進めていくように、一句一句を噛み締めて、髄まで味わうがベストなのでしょう。 ランペがMD+Gに展開している「知られざるフローベルガー」シリーズ。このまえ金山の中古屋で第1巻をみつけました。 第1巻は7つのパルティータを中心に単独の舞曲がいくつか。彼のモーツァルトと同じように、ハープシコード、クラヴィコード、オルガンで弾き分けられてます。しかしこれ、どうやらなかなか凝った作りのアルバムなのですね。 7つ並んだパルティータのうち、最初の5つ―2つのd-mollに、E-dur、fis-moll、h-moll―が、ミーントーンで調律されたフレミッシュ・チェンバロで弾かれています。 ミーントーンについて僕は、「一部を純正に鳴らす代わりに弾いてはいけない調性ができる」という理解しかなかったのだけど、このCDでランペは…その「弾いてはいけない」E-durの曲を弾いてしまうのですよ。狙い澄まして。 「純正に鳴る」d-mollとfis-mollの間に挟まれて、なるほど背筋に冷たいものが走るような、強烈な不協和音が、、黒板を爪で引っ掻くような感じで。。本人はライナーで「昔の聴衆と同じビックリを味わってほしかったのサ」なんて言ってくれてますけど、軽くグロ体験です。 さらに5つめのロ短調のパルティータで、それまで一切控えていたリュートストップを使用。その次に来るクラヴィコードへの橋渡しが絶妙ですね。クラヴィコードのパートになるとモーツァルトのときも感じていた撥弦楽器的「タメ」がいよいよ全開!鍵盤楽器とは思えないような駆動性のよさは、もちろんランペのセンスのおかげなんでしょうなー。 そしてオルガンに移って、最後のトラックの、電撃のようなト短調のトッカータ。絶望的な。 FbWV―Froberger Werke Verzeichnisは、、なんとランペの編纂らしいのです。 鬼才、どこまでやってしまうのだろう。
by Sonnenfleck
| 2007-03-09 06:53
| パンケーキ(17)
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Comments(2)
そうそう、アレッサンドリーニがフレスコバルディのCDで使っているチェンバロの調律がミーントーンとあって、何だろうと思いつつ調べるの怠っていたんですが、Sonnenfleckさんのこのエントリーでかなりイメージつかめました。長3度をぴったり純正に合わせる調律みたいですね。17世紀物だと、結構使っている人多いんでしょうか。
フローベルガーは以前レオンハルトで聴いて、最近ちょこちょこNMLで聴いているくらいで、攻略半ばどころかお話にならない状態なのですが、個人的にはフレスコバルディよりとっつき易そうな感じです。ランペ…これはぜひとも聴いてみたい…。
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Sonnenfleck at 2007-03-10 00:03
>yusukeさん
実はyusukeさんのフレスコバルディのエントリに触発されてこれを書きました。。個人的にはフレスコバルディはさらに奥の院で、聴き通すのが大変難しいです。次に音がどう動くのか、全然想像がつかない。。 チェンバロを弾く友人に聞いたところ、一口にミーントーンと言ってもいろいろな種類があるらしく、17世紀ものだと特に広く使われてるんでしょうね。 レオンハルト…チケット取らないと!今年もフローベルガー弾いてくれるのだし!
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