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「闇の中で in the darkness」@東京都現代美術館

c0060659_7263156.jpg1月27日、始発で名古屋を飛び出したのは、この展示をなんとしても「ひとりの」時間で見て廻りたかったからです。

「中村宏|図画事件」と同時開催の、MOTコレクション特集展示「闇の中で in the darkness」。MOTの常設展示室の3階部分を暗闇で覆い、現代アートの中でも特に「闇」を想起させる作品を展示するという優れたコンセプトの展示です。暗闇の中に他人の尺度を感じるのが嫌だったので、ほぼ開館と同時に突入。

■第1室―暗闇への憧憬
柔らかくて重い垂れ幕をくぐって最初の部屋に入る。
土屋公雄《ヴァシヴィエールの月》《月のかけら》が、微弱なライトに照らされて壁面に巨大な弧を描いています。前者は朽ち果てた木片、後者は欠損した陶片を、月の満ち欠けに模して再構成したインスタレーション。
対面に架かった駒井哲郎のエッチングと、マーデンという作家の三色旗(鉄紺・白銀・群青)《ムーンⅠ》。この部屋は「夜」の「闇」なわけで、まだ外部に光源があるのです。

■第2室―闇とエロスの邂逅
床面いっぱいに散乱した白いブロック。伊藤公象《アルミナのエロス(白い個体は…)》は、骨のようでいて、それ自身が墓標のようで、でもよく見るとただの焼成アルミナなんです。
MOTの公式パンフには「生命力(エロス)にあふれています」と書いてあるけど、そこまでスタンドアローン的に意思を持った存在なのだろうか。。もっとずっと他力本願で「ああこれはいかにも作られた物のようだ」と思ったのだけど。

■第3室―絵画の中の闇
この部屋は特に、黒として(時には闇として)「描かれた部分」と、それを闇の中で見る、という二重の面白さがあります。上に画像をUPした浜口陽三《西瓜》なんかは、光の下でさえ溶暗して見えるモチーフがさらに茫洋とした広がりを持つようになって、こうなると紙も額も壁も支持体でなくなってしまうのだから面白い。返す返す面白い。

■第4室―死と隣り合わせの闇
キュレーター側としては、ここはある意味でもっとも直球勝負に出られるセクションでしょう。
銀の柔突起に覆われた手漕ぎボート、草間彌生《死の海を行く》
「自殺の名所」から下を覗きこんだ写真を淡々と撮りためる、平川典俊のシリーズ。
そしてボルタンスキーの、巨大なモニュメント《死んだスイス人の資料》
この部屋と続く第5室には、ベンチが置いてありました。そこに座る。
ある程度のパースペクティヴをもって眺めるボルタンスキーの死人たちは、ひとりひとり白熱灯の明解な光源に照らされてもなお曖昧な集団でしかなく、一様に空しい。「墓碑」ではなくやっぱり「資料」なんだな…これは。きちんと整列した平川の写真も場所性が曖昧で、ただひとり体臭を漂わすヤヨイクサマの小舟が、暗闇に浮いている。

■第5室―闇から始まる
第4室で終わると実に後味が悪いのですが、最後に宮島達男オンリーの部屋があったことで救われたような気がする。赤い発光ダイオードで暗闇が引き立つのです。ここは1から9までというより、9から0になってもまたいつか始まるというところを見るべきなのでしょう。

くれぐれもおひとりでどうぞ。公式サイトはこちら。4月1日まで。
by Sonnenfleck | 2007-03-17 07:30 | 展覧会探検隊
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