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終点のエール

c0060659_754966.jpgブリュッヘン/オーケストラ・オブ・ジ・エイジ・オブ・エンライトゥンメントによるバッハの《管弦楽組曲》全集。

少し前にピーカンファッヂで発見しました。フルプライスで発売されたあとしばらくは店頭にあったのに、そのとき確保しておかなかったせいで何年も探し回る羽目になったのです。。
94年の録音、マルPは97年で、ハイドンの疾風怒濤期交響曲集とともにブリュッヘンがPHILIPSに残したほとんど最後の録音ではないかと思います。…これはですね。この期に及んでブリュッヘン観を揺さぶられました。
クソ真面目で、オトコっぽくて、どろどろしてて、ダサく―ないのです。こんなに優しくて静謐な管組シリーズって他に聴いたことがないですし、羽が舞うようなという言葉はこういう演奏だけに使うべきではないかと思う。いやーたまげた。本当にたまげた。

第2番から聴き始めて、まず序曲前半の響きの薄さに仰天します。それでライナーノーツを見てみると、どうやら1パート1人で演奏してるんですよ。Fl・Vn1st・2nd・Va・VcにLtが2人、合計7人の極小編成を完璧に統率して演奏する序曲後半のフーガは、激することなく、ひたすらに感覚的で…その上全体にごく弱いイネガルがふわっとかけられて、言葉にならないほどの快感です。うぉぁ。。
ロンドは耳に馴染んだ「たーたたたー」ではなく「たたーたたー」という拍子になって、装飾的に扱われたその2拍目の弱々しい感じが、なんとも病的に美しい。
悶えるようなサラバンドブーレⅠでは結尾部でVcが消えて、Ltだけが最低音の余韻を残す。したがってある程度の速度を保っているのに強引な印象は一切なくて、ただ青白い儚さだけが伝わります。そしてバディヌリーはまったく無理なく風が一筋吹き抜けていくような感じ。よくある、楽句と楽句をつなぐBCの強調はここではなされません。

信じられないくらい繊細に作りこまれた第2番に比べると、第3番は比較的大らかであります。1パート1人じゃないですしね。
しかし序曲の雄大さは、恐ろしい落差を生み出すために設計されていたようです。長く緩やかな下り坂のように延びる最後の和音のあと、静かに始まったエールは、Vnの天国的なノンヴィブラートに、Vaの苦味がほんのちょっと効いて、Cemの優しい装飾が…聴き手の容量を軽く超えるくらい圧倒的な美しさで演奏されます。このあとに音楽が続くのは野蛮な気がするので、この先のトラックは聴いていないのです。。終点。。
第1番第4番については、気が向いたら追記するかもしれません。
by Sonnenfleck | 2007-05-09 07:06 | パンケーキ(18)
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