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豪華、見逃しテレマン

c0060659_842595.jpg【VIVARTE/SRCR1998-2000】
●テレマン:パリ四重奏曲全集
⇒バルトルド・クイケン(Ft)
  シギスヴァルト・クイケン(Vn)
  ヴィーラント・クイケン(VGam)
  グスタフ・レオンハルト(Cem)
  (録音:1996-1997

せっかく来日したガッティもレオンハルトも聴きに行けず、鬱々とした梅雨を送っていましたが、おなじみ今池のピーカンファッヂでこの3枚組ディスクを見つけてびっくり。
この豪華すぎる顔ぶれ的にはどう見ても70年代なので、新装再発売かなと一瞬思ったんですが、クレジットを見ると確かに録音年は最近。うおーなんで見逃してたんだー。

パリ四重奏曲については最近触れたばかりですが、テレマンの最高傑作を、当時円熟の極みであった10年前のオランダ勢のアンサンブルで聴く、これ以上の贅沢があるだろうか。。このあとレオンハルトはアンサンブルを録音しなくなって仙人化するし、クイケン兄弟はシギスヴァルトの衰えがひどい(2年前、最後に聴いたクイケン・アンサンブルは、穏やかではあったがちょっと悲しかった)。何年も保存したワインを開けるのってこういう気分でしょうか。

演奏についてひとことで言ってしまうとすると、ずばり「大人」ですかね。
何十年も一緒にやってきた、気心知れた仲間の語らい。その飾らない交流の楽しみを、聴き手はちょっとだけわけてもらう。過剰な装飾、無駄な緊迫感、互いに食ってかかろうとする危うさ、それらがないだけで新鮮な印象を得るのは、最近の派手バロに毒されすぎてるせいかな。互いにさりげなく補完し合って、でもそれは彼らの中では当然のことで…。こんなに心穏やかで余裕のあるアンサンブルってそうは聴けませんよ。素敵だなあ。。
第1番のプレリュード冒頭、8分音符で軽やかに動き回るバルトルドの下で、シギスヴァルトとヴィーラントを従えて拍を引き締めるレオンハルトの自然な威厳。第2番のクーラントで聴かせる円やかな変奏は絶品としか言いようがないですし(ヴィーラントのソロからバルトルドとシギスヴァルトの重奏にかけても伸びやかになりすぎず、憂鬱質を引きずるのがいい…)。

ここで、僕なんかはレオンハルトを聴こう聴こうと思ってチェンバロに耳を傾けるんですが、耳の焦点はいつのまにかクイケン兄弟にいってしまう。チェンバロが引っ込んでいるわけでも、他の3つの楽器が飛び出ているわけでもないのに。つまり、レオ師がソロで聴かせる深く沈滞した音楽世界はここでは遠慮されて、リズムを完璧に支配する通奏低音超エリートとしての顔が表に出ているんですね。来てほしい拍の頭すべてに、当然のように来てくれるというのは(あるいは行くべき拍の頭すべてに、完璧に行くというのは)通奏低音芸術の基本であり、また同時に最終到達地点だと思うのです。神。
by Sonnenfleck | 2007-07-01 08:43 | パンケーキ(18)
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