今日は朝からストラヴィンスキー(20)

c0060659_5473123.jpg【DISC21…SACRED WORKS VOL.2】
●《カンティクム・サクルム》(1955) ※
→リチャード・ロビンソン(T)
  Howard Chitjian(Br)
  ロサンジェルス祝祭合唱団
●《イントロイトゥス》(1965) +
→グレッグ・スミス・シンガーズ
●《説教、物語と祈り》(1961) #
→シャーリー・ヴァーレット(MS)
  ローレン・ドリスコル(T)
  ジョン・ホートン(語り手)
●アンセム《鳩は空気を引き裂いて降りる》(1962)
→エルマー・アイスラー/トロント祝祭合唱団
●《預言者エレミアの哀歌》(1958) *
→ベタニー・ベーズリー(S)、ベアトリス・クレブス(CA)、ウィリアム・ルイス(T)
  ジェームス・ワインナー(T)、マック・モーガン(Br)、ロバート・オリヴァー(Bs)
  ヒュー・ロス/スコラ・カントルム
⇒イーゴリ・ストラヴィンスキー/
  ロサンジェルス祝祭交響楽団(※)、コロンビア室内Ens(+)、
  CBC交響楽団(#)、コロンビア交響楽団(*)

越年マラソン。最後の区間になって奥の院が続くと挫けてしまいそうです。

まず《カンティクム・サクルム》
これまでに聴いてきた《火の鳥》《エボニー協奏曲》に代表されるような舞台性の俗、あるいは前のディスクで耳にした3つの無伴奏合唱曲や《ミサ曲》の素朴な信仰告白、そのどちらとも異なる意図的な厳しさが強く伝わってきます。
強い酸性の自制に浸されることで、大まかな小節線と音符の骨格を残して肉の旨味は融けてしまったような印象を受ける。何しろ十二音であると同時に特に響きが薄くて、無地の背景がずいぶんすっきりと透けて見えるんですね。

ただし、その印象は最初の数回までで解消される。骨格自体の旨味が、つまりギ…と軋む弦や、サッと空間に翻る金管や、空間の奥行を暗示するオルガンや、器楽として浮遊する合唱などの面白みが、徐々に何もない空間に滲み出て来るわけです。これはたぶん、聴き手たるこちらの耳の焦点が合ってくるというのが大きいんでしょう。
ピアノと管弦楽のための《ムーヴメンツ》から放たれた長い伏線が、フォルムを楽しむ「皿」であるらしいいくつかのピアノ小品を足掛かりにして、ようよう回収されたような感じ。後期ロマン+原始主義から始まって、自分以外の者を楽しませることにいちおう留意しつつも、この作品で個人的密室的なフォルム萌えに落ち着いた、という判断は正しいのか?…いやいや、遺作《レクイエム・カンティクルス》を聴いてみなければわからない!

アンセム《鳩は...》《クレド》直系の素朴な心持ちが他の曲よりストレートに伝わってくるようです。ただしたとえばスウェーデン放送合唱団の超絶技巧による、しかも優秀な録音で聴いたとしたら、もっと冷たい印象を受けるかもしれない。この大全集で聴いた合唱入り作品すべてに関して言えることだけど。。

《エレミアの哀歌》は、聴感上このディスクの中では最も編成が大きいような気がします。生っぽくてつっけんどんなコロンビア響の音がけっこう懐かしい。「エレミアの哀歌」というドラマティックな元ネタが、冒頭の比喩を用いれば「自制の酸に打ち勝つ肉」を、五線紙の中に準備したようです。この曲で頻出する重唱は(《説教、語りと祈り》で顕著だった!)マゾヒスティックな単調さを伴いますが、そういうもんなのかな。演奏はもちろん、恐らく譜面上もオケはずいぶん雄弁なんだけどな。
by Sonnenfleck | 2008-01-07 05:49 | パンケーキ(20)
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