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5時からダラバコ。

5時からダラバコ。_c0060659_718828.jpg【Stradivarius/STR 33740】
<エヴァリスト・ダッラーバコ>
●Vnと通奏低音のためのソナタ op.1から
●2本のVnと通奏低音のためのソナタ op.3から
⇒ジョルジョ・サッソ/インシエメ・ストルメンターレ・ディ・ローマ

ダッラーバコです。
エヴァリスト・ダッラーバコ Evaristo Dall'Abaco です。
俺はトリオソナタ・マニアだぜ、とか、イタリア半島の17~18世紀ならあたしの右に出る者はいない、とか、そういう趣味の方以外にはまず知られていない名前じゃないでしょうか。僕自身、かつて手軽なトリオソナタの楽譜を探す過程で彼のおかしな名前に引っかかったにすぎないわけですから。
トレッリの弟子としてヴェローナに学び、長じてバイエルン選帝侯の宮廷楽長に上り詰めたという、典型的な18世紀のイタリア人音楽家。このCDに収録された作品1と作品3でよくわかるように、作風はモロにコレッリライク…のように一旦は聴こえます。

しかし、どうも落ち着かない。
これは、ソナタ・ダ・キエザとソナタ・ダ・カメラが融合した、統一感のない楽章構成に端を発しているのか?作品1-5 ト短調なんか第3楽章まではきれいな教会ソナタなのに(きれいと言っても記号上の話だけど)、第4楽章にいきなりジーガが置いてあるというオチです。聴いてて非常にびっくりした。
この破綻の予兆のようなものは当然、曲調にも表れていて、作品3-12 イ長調のように軽薄なノリがあちこちに出現している。第2楽章アレマンダ・アレグロのテキトーなノリ!どうなんでしょうこれは!コレッリ風の重々しい多幸感から逃れようとして、ダッラーバコは高田純次みたいな快楽主義へと遷移していったようです(ときどきフッ...とシリアスに戻るのもそれらしい)。きっとこれは弾いていて楽しいだろうなあと思われる。

ただしここで取り上げたCDの演奏は…よく言えばクール、悪く言えば釣り目、かな。
もっと享楽的なアンサンブルで聴いたら面白みは倍増するかもしれません。
by Sonnenfleck | 2008-01-24 07:24 | パンケーキ(18) | Comments(0)
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