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ブリュッヘンとショパンの63秒

c0060659_6272423.jpg【NIFC/NIFCD004】
<ショパン>
●Pf協奏曲第1番ホ短調 op.11
●同第2番ヘ短調 op.21
→ダン・タイ・ソン(Pf ※エラール1849年製)
⇒フランス・ブリュッヘン/18世紀オーケストラ
(#1…05.9.8 #2…06.8.31 いずれも@ワルシャワ)

ブリュッヘンのショパン、です。
普段ショパンはまったく聴かない、特にダン・タイ・ソンのファンでもない人間がこのCDを手にしたのには、ひとえに今のブリュッヘン+18世紀オケがロマン派の音楽に対してどのように向き合っているか興味があったから、という理由しかありません。

結論から先に書くと、07年2月の《未完成》はやはり彼らのにとっても例外的な数時間だったのかな、というところ。つまり、あそこまで破滅的な音楽ではない。CDを開封する前に想像していたとおりの、ずっしりと重く中身がたくさん詰まっていながら、波立たない静けさが感じられるあの18世紀オケらしい音が、地の部分ではずっと鳴り響いています。

でも局所的に聴けば、より重く、あるいはより薄く、という方向が設定されている。
第1番の第1楽章は当然あの序奏が聴きどころですが、ホ短調の咆哮がモダンのオケよりもずっと薄暗く、深沈とした表情になっているのが趣深い。ブリュッヘン流のやり方がぴたりとはまっているみたいです。こういうナチュラルショパンならいいな。
驚くべきは第2楽章の前奏であります。
ほんの1分ちょっとの時間に、シューベルトのように静かな痛ましさが煮詰められて硬く結晶しているではないですか。すげえ。。この1分を聴くためにこのCDを求めるべきです。

第2番のほうはもうちょっと身振りが激しくて悲劇的、そのぶん「ちょっと放心するような」静かな瞬間は若干減ったかなという感じ。ピアノが近い録音状態のせいもたぶんあるけど、ダン・タイ・ソンの歌い口も第1番に比べて雄弁になったように聴こえます。

いつ、何を聴いても、ブリュッヘンは人を考えさせる。
by Sonnenfleck | 2008-03-03 06:29 | パンケーキ(19)
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