【2008年3月9日(日)11:00~ しらかわホール】
●バッハ:無伴奏Vnパルティータ第2番ニ短調 BWV1004 ●フランク:Vnソナタイ長調 ●ベートーヴェン:Vnソナタ第9番イ長調 op.47 《クロイツェル》 ○アンコール シューマン:3つのロマンス op.94~第2番、第1番 ⇒コーリャ・ブラッハー(Vn)+若林顕(Pf) 今年から始まったしらかわホールの新シリーズ「ELEVEN AM」。 まずプログラムを見た時点で気づくべきであった。 まさに王道です。自信がなければ絶対にこんな選曲にはしない。 BPOの元コンマスにして、アバドの覚えめでたくルツェルン祝祭管の要も任されているコーリャ・ブラッハーですが、彼を特に意識して聴いたことはこれまでなかったんですよ。今回も軽いマチネーのつもりで出かけたのに、とんだ誤算。朝から凄いものを聴かせてもらった。 オケから抽出されたブラッハーの音は、特筆すべき美音というわけではないんです。 しかし何が彼をヴィルトゥオーソオケのコンマスに上り詰めさせたかということを考えると、彼の音楽の根底にあるのは、作品の様式を的確に捉えて表現するための広範な表現パレットである模様。バッハとフランクであんなに表現を変えるとは思いもしなかった。 さらに、彼が理性でもって的確に様式の分類作業を行ないながらも「分類作業臭」を漂わせないのは、聴衆の心を掴むスパイスを入れ忘れないからだろうということも判明。 ブラッハーに関してネット上で検索してみると思いのほか否定的な意見が多く見つかるんですが、それはこのバランシングが恐ろしく難しいことの表れではないかしら。事実、後半の《クロイツェル》は人懐っこすぎて様式感が崩れてる感じ。聴衆は湧いていたけど。 バッハの無伴奏Vnパルティータ第2番で、胸倉を掴まれました。 ほとんどヴィブラートを用いず、おまけにちゃんと「舞曲」してる! それでいて、クーラントがいかにも演出された不機嫌な音色であったり、ジーグがドラマティックな高揚を見せていたりしたので、モダンにこういうスタイルで弾かれてしまうと(いくつかの面では)ピリオドは敵わなかったりするんではないかと思ったりします。 シャコンヌは、思い切って荒々しく提示された冒頭主題が苦み走ってカッコイイ。あちこちでアクロバティックなことをしていたような気もするけど、全体がバロックの様式感の中で肥大することなくまとまり、実に好印象です。 かたやフランクのVnソナタ。第1楽章冒頭で若林氏がこってりと弾き始めたところにビビッていると、甘甘なポルタメントを効かせてブラッハーが入ってきたのでまた吃驚。およそ80年前のティボー+コルトーの録音に、印象としてはかなり似ています。これも作品の様式を研究した上での判断だろうと思われる。 肥大しきった第3楽章も忘れがたいですね。おいおいどこまで膨らませるつもり? 前半が終わってあんまりよかったので、休憩のアナウンスと同時にロビーへ駆けていってブラッハーのバルトーク&シューマンのCDを買ってしまいました。感想はそのうち。
by Sonnenfleck
| 2008-03-10 07:02
| 演奏会聴き語り
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