【2008年4月12日(土)18:00~ しらかわホール】
●モーツァルト:ディヴェルティメントヘ長調 K.138 ●ベートーヴェン:Vn協奏曲ニ長調 op.61 ○アンコール バッハ:無伴奏Vnソナタ第2番~アンダンテ →塩川悠子(Vn) ●ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 op.60 ⇒当間修一/シンフォニア・コレギウムOSAKA 先週の土曜日は、大曽根でテオルボ&リュートを楽しんだ後、珍しくダブルヘッダをやりました。名古屋はせっかく徒歩10分の栄圏内に4つもホールがあるのに(東京でもここまでの密度は考えられないでしょう?)、コンサートの密度は低いんだからやり切れません。 しかしながら12日は突発的にコンサート密度が高い一日で、この他に17時から愛知県芸でケント・ナガノ/モントリオールの公演があったために、こちらのしらかわホールはやや寂しい入り。名古屋近在のクラヲタ(特にオケ好きな)諸兄はモントリオールへ行かれた方が多いんじゃないですかね。でもこちらの公演も、よかったんですよ。 シンフォニア・コレギウムOSAKAという団体、大阪を中心に活動している老舗の室内アンサンブルで、活動の母体がバロックの声楽作品演奏ということらしく、もしかしてピリオド団体なのかなあというかすかな望みを持って出かけたら、6割方アタリでした。 この日の弦の編成は6-6-4-4-2と小ぶり。楽器はモダン、配置もモダン、同じパートの中でもヴィブラートへの判断はバラバラで若干見苦しいところがあったけれども、全体として聴いたときにあちこちから感じられるアーティキュレーションへのマニアックなこだわりは、明らかにピリオドアプローチに端を発していると考えてよさそう。 最初のモーツァルトは第2楽章がキモでしたね。 大変失礼な書き方だけども、心配していた技巧が安定していた上、指揮者の意図を表現しようとする意気込みが強く感じられたわけです。各パートの塗りわけが巧い。後半部分で一瞬の隙を突いてVcとKbが空気を一変させてしまったのには驚いた。 協奏曲を飛ばして後半の交響曲第4番。 第1楽章の序奏に迷いがあったというか、もっと抑制してもっと集中することができる団体だと思われましたので、ここだけは残念。主部に入ると快調さを取り戻して一気に駆けていったので安心したんですけどね。 第3楽章からはティンパニ協奏曲状態に突入して一段とダンサブルになり、なかなか楽しめました。ティンパニの激しい強打と音を割るHr隊、弓の付け根をガツガツと当てて弾くVc隊は、先日取り上げたマンゼのエロイカよりずっとマンゼらしい。指揮者・当間氏のセンスと構築力、そしてオケの面々にブラヴォでした。隠れた名アンサンブルだと思いますよ。ほんと。 さてもVc隊は、表現主義的ピリオドスタイル(前半はなんとエンドピン無し)の首席氏と、フレーズ毎に冷静なヴィブラートを掛けていくトップサイドさんとの間に恐ろしい断絶があって、こっちはひとりでハラハラしてしまった(笑) + + + でも、、この夜の主役は塩川女史でした。 アンドラーシュ・シフ夫人にして、30年以上にわたってヤン・クーベリックのヴァイオリン「エンペラー」を操ってきた名ヴァイオリニスト。初めて生演奏に接しました。失礼を承知であえて書きますが、還暦を過ぎられてなお凛とした音の輪郭を保持され、気品ある歌い口にはさらに磨きをかけられたご様子。 無論、メカニックの面では無傷ではなかったけれど、あのようにベートーヴェンの協奏曲の第3楽章を「うきうきし過ぎずに」演奏する背景には、重ねられた齢から醸し出される何かがあるのだろうと思う。フィナーレのカデンツァ、そしてアンコールのバッハは神でありました。
by Sonnenfleck
| 2008-04-18 07:13
| 演奏会聴き語り
|
Comments(2)
こんにちは。
指揮の当間氏には以前いた合唱団で少しお世話になりました。 合唱界では一目置かれた存在です。 このオケの演奏はまだ聴いたことがありませんが、定期的にしらかわホールで公演があるようです。(私は土曜日が練習でなかなかいけないですが)
0
Commented
by
Sonnenfleck at 2008-04-20 22:16
>ピースうさぎさん
当間氏の動きはけっこう饒舌でしたが、手や身体の動きそれぞれがちゃんと音楽に対応していてキレイでした。合唱指揮系の方って指の先までコントロールされた柔軟な指揮をされることが多くて、オケを振られるといつも見とれてしまいます。 意外にピリオド風味が強かったので、来年の名古屋公演でもぜひ古典派以前のプログラムを聴かせてほしいです。
|
カテゴリ
はじめに 日記 絵日記 演奏会聴き語り on the air 晴読雨読 展覧会探検隊 精神と時のお買い物 広大な海 ジャンクなんて... 華氏140度 パンケーキ(20) パンケーキ(19) パンケーキ(18) パンケーキ(17) パンケーキ(16→) タグ
日常
クラヲタ
ショスタコーヴィチ
バッハ
旅行
のだめ
散財
モーツァルト
ラ・フォル・ジュルネ
ベートーヴェン
B級グルメ
ノスタルジー
ブリュッヘン
マーラー
演奏会
名フィル
アニメ
ストラヴィンスキー
展覧会
シューベルト
Links
♯Credo
Blue lagoon Blue Moon--monolog DJK Klassik DRACの末裔による徒然の日々 dubrovnik's dream ETUDE Fantsie-Tableaux Langsamer Satz Le Concert de la Loge Olympique minamina日記 mondnacht music diary~クラシック音楽~ Nobumassa Visione preromantique Rakastava SEEDS ON WHITESNOW Signals from Heaven takの音楽 Takuya in Tokyo Valenciennes Traeumereien Vol.2 Wein, Weib und Gesang ○○| XupoakuOu yurikamomeの妄想的音楽鑑賞とお天気写真 4文字33行 アリスの音楽館 アルチーナのブログ あるYoginiの日常 アレグロ・エネルジコ マ・ノン・トロッポ アレグロ・オルディナリオ あれぐろ昆布漁 いいたい砲台 Grosse Valley Note ウェブラジオでクラシック音楽ライブ 「おかか1968」ダイアリー 音のタイル張り舗道。 オペラの夜 おやぢの部屋2 音楽のある暮らし(そして本も) 音源雑記帖 ガーター亭別館 河童メソッド ギタリスト 鈴木大介のブログ きままにARTSダイアリー ヽ['A`]ノキモメンの生活廃棄物展示場 クラシカル・ウォッチ 古楽ポリフォニックひとりごと 心の運動・胃の運動 コンサート日記 さまよえるクラヲタ人 瞬間の音楽 素敵に生活・・・したい! たんぶーらんの戯言 ディオニュソスの小部屋 ドイツ音楽紀行 弐代目・青い日記帳 爆音!!クラシック突撃隊♪ブログ。 ♪バッハ・カンタータ日記 ~カンタータのある生活~ はろるど ひだまりのお話 ひねくれ者と呼んでくれ 平井洋の音楽旅 ブラッセルの風・それから ぶらぶら、巡り歩き ベルリン中央駅 まめびとの音楽手帳 萌える葦、音楽をするヒト もぐらだってそらをとぶ やくぺん先生うわの空 ユビュ王の晩餐のための音楽 横浜逍遙亭 よし のフィルハーモニーな日々 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2010 & オペラとクラシックコンサート通いのblog リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」 りんごの気持ち.blog 六国峠@ドクター円海山の音楽診療室 私たちは20世紀に生まれた * * * CLASSICA Dmitri Dmitriyevich Shostakovich Pippo Classic Guide Public Domain classic WEBぶらあぼ クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~ クラシック・データ資料館 木曽のあばら屋 佐藤卓史公式ウェブサイト 柳の下 artscape ミュージアムカフェ 豊田市美術館 東京都現代美術館 川村記念美術館 * * * 管理人宛のメールはdsch_1906 ◆yahoo.co.jp までどうぞ(◆=@)。 以前の記事
2023年 07月 2022年 07月 2020年 07月 2019年 02月 2019年 01月 2016年 06月 2015年 09月 2015年 06月 2015年 02月 2014年 11月 more... 検索
その他のジャンル
ブログパーツ
記事ランキング
|
ファン申請 |
||