CoCo壱番屋の創業者である宗次徳二氏が、私財を投げ打って名古屋の中心部に室内楽専用ホールを作ると聴いたときには、物凄く期待しました。去年、初めて出かけた有田氏のコンサートで客席に座ってみて、これは確かに素敵なホールだとも思いました。
開館して1年、在名古屋クラヲタの端くれとして宗次ホールの動向をずっと見守ってきましたが、はっきり申し上げますと、だいぶ失望していたというのが正直なところなんです。 カレー屋さんのホールですからカレーを例に取りますと、つまり、なんでこの店には甘口カレーしか置いてないの?という一言で僕の気持ちは説明がつきます。 甘々の甘口カレーで、甘口の好きなお客さんは確かに集まるでしょう。甘口好きの中でもさらに平日の11時半にホールへ行くことができる層へターゲットを絞って、ランチタイムコンサートを思い切り充実させて、気軽にクライスラーとかプログラミングして、それで儲かるのでしょう。ビジネスとしては巧く軌道に乗っているのかもしれません。 でも辛口の好きなお客は? そんなん知らんがねたぁけ、金にならんでかんわ、でしょうか? せっかくルンデが築いた室内楽の良質な土壌があり、しかもあんなに素敵なホールを持っているのだから、方針も含めてもっともっと改善を重ねていってほしいんです。 甘口全廃とかそういうことを言ってるのではないんですよ。ただ、たとえば最近の名フィル定期でマジな辛口を味わったお客さんのために、彼らを補助するような企画を用意するなんていうのは、オーナーがはっきりしていてしかもまだ新しい私設のホール「ならでは」の試みじゃないかな。ホールには街の文化を育てる責任があると僕は思う。 しかし、この前のクスQを皮切りに、9月にはアントネッロ、10月には小倉貴久子さんがシュトライヒャーのフォルテピアノでメンデルスゾーンを弾き、と徐々に中辛メニューが充実してきたのかな…という気はしています。アントネッロはすでにチケットを押さえました。成り行きを静かに見守っていこうと思います。 ※最後に宗次ホールの好きなところ。 ・残響がドライ。 ・でもスタッフはドライじゃない。応対が人間らしい。 ・虚飾を排しながらゴージャス感を醸し出す椅子。広々。 ・柵がガラス板なので2階に座っても視界を邪魔しない。 ・コーヒーをマグカップに入れて出してくれる。しかも美味しい。さすが。 ・トイレの美しさとハイテク具合は尋常のレベルを超えている。これもさすが。 公式ブログにTB打とうかな。いや、、怒られそうだな(笑)
by Sonnenfleck
| 2008-07-17 06:39
| 日記
|
Comments(10)
こんばんは。
宗次ホールは1度行ったきりです。 ルンデのような企画はなかなかないなあ、と思って公演情報を見ています。 全然関係ないですが、8月のランチタイムコンサートに私の高校時代の部活の後輩(ソプラノ)が出るようなので、仕事休んで行こうかな~と思っています。
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こんばんは。
宗次ホールの企画についておっしゃっていることと、規模は違いますが根本的なところでは同じ問題を、7・17の朝日新聞に蜷川幸雄氏が書いていますね。もっとも新国立劇場の場合は官僚がらみの問題なので、またかという感じですが、宗次ホールの場合、もっと志の高い運営ができるはずですのにね。 ルンデには及びませんが、意欲的な企画もちらほらとあるようなので、この路線をどんどん充実させていってほしいものです。
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Sonnenfleck at 2008-07-17 22:52
>ピースうさぎさん
私がルンデに行ったのはいつぞやのパイゾQが最初で最後でした。いまルンデの公演記録を眺めていると、「辛口」ばかり並んでいてびっくりしてしまいます。この路線を継承してほしいと叫ぶつもりはありませんが、ちょっとはスパイシーなコンサートも企画してほしいなあと思っています。 とは言え、毎日のように開催されているランチタイムコンサートが、名古屋のクラ界を華やかに彩っているのも事実ですし(ピースうさぎさんと後輩さんのような「つながり促進」機能も大切ですよね)。
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Sonnenfleck at 2008-07-17 22:59
>前島良雄さん
タイムリーでした(笑) それにしても開館してずいぶん経つのに新国はいまだにキャラが立ってないですよね。どうせ保守に染まるのならもっとベタなレパートリーの完成度を上げたらいいと思いますが、個人的には宗次ホールの比でないくらいもっともっともっと冒険をしてもらわないとと思ってます。来年の《ムツェンスク郡のマクベス夫人》はいい仕事ですけどね。聴く前からですが。 意欲的な路線を根付かせるには、それを指示する人間も少なからずいるんだよということを、チケットの購入でもって応えるのがいいんでしょうね。10月のメンデルスゾーンは月曜夜でいかにも辛いですが、行動しないと。。
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ここなつ
at 2008-07-17 23:17
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企画・運営・金払い(苦笑)等、色々と問題はあるそうなんですが、
まだできたばかりですし、これからではないかと思っています。 ランチタイム、気になる公演も多いんだけど…とても行けそうにありません(泣)。 近くのプリシードホテルの支配人さんによると、 社長は自ら、地下鉄出口~ホールまでの広小路通沿いを、完璧に掃除し、 雑草を抜き、自前で購入した花まで植えていらっしゃるのだそうです! なかなかできることではないですよね。
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Sonnenfleck at 2008-07-18 22:37
>ここなつさん
社長(宗次さん?)のエピソードには驚きですが、ホールでひとりひとりの聴衆に接しているあのオーナーさんなら…と光景が浮びます。本当に音楽がお好きな方なんでしょうね。 ルンデの受け皿になってほしいとまでは言いませんが、企画については本当にこれから見守っていくしかないなあと思っています。私なんかはうるさいわりに無責任なただのクラシックオタクなので好き放題言えますが、経営はそう簡単にはいかないのでしょうね。。
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くに
at 2008-07-19 16:07
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宗次ホール、一度だけ入ったことがありますが、あの座席の快適さは素晴らしいと思います。
緩やかに傾斜した1階席の床は石でしたね。こだわりがあることをうかがわせます。宗次ホールは、かなりランチタイムの稼働率が高いようですね。都心ならではですね。できたからには、使われないと宝の持ち腐れですから。 おっしゃることは、感覚的にはわかります。甘口、辛口織り交ぜてのプログラムに期待していきたいですね。 オーナーの宗次さんの講演いただいたことがあるのですが、優しさのにじみ出ている方で、素晴らしいお人柄です。早起き、清掃と私たちもまねして行きたいと思いますね。
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Sonnenfleck at 2008-07-20 00:46
>くにさん
あの横幅の広さと足元のゆったり空間は、他のホールでは体験したことがありません。床が石ということも手伝ってか、音の芯がぼやけず、ソリッドにまとまるなあという印象を持っていますね。好きな傾向です。 宗次さんの伝説は数多いんですね。ううむ。そんなエピソードをお聴きすると無条件でホールを応援したくなってくるので困ります(笑) そういえばホール1階部分の事務局スペースに、ホール会員への貸し出し用としてCDがずらーっと並んでいるんですが、もしかすると、、宗次氏の個人コレクションだったりするんでしょうか。。
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skyblue_2 at 2008-09-30 20:14
はじめまして。チラシ拝見ばかりで未体験の宗次ホールなのですが、俄然行ってみたくなりました。東京の某リクライニングシートのあるホールも、最近気になっております。
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Sonnenfleck at 2008-09-30 21:31
>skyblue_2さん
はじめまして!コメントありがとうございます。 本文やコメントにも書きましたが、宗次ホールは雰囲気が面白いので行ってみる価値大アリです(あの世間ズレしていない感じ、アットホームな感じは他のホールでは得られない印象です)。メニューの充実は今後温かく見守っていけばいいことですが、最近オフィシャルブログが閉鎖されてしまって、ちょっと心配です。。 代々木の某リクライニングホールは一度だけ行ったことがありますが、リクライニングではない席に案内されて悲しかった思い出のみ(笑) リベンジを狙っています。 今後ともよろしくお願いいたします。
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