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六面体楽所

15年間ほど使ってきたCDコンポシステムが夏ぐらいから調子を崩して、片方のチャンネルが出力されなかったりする。ので、自然とPCでYouTubeなんかを聴くことが増えてきた。(※このブログを始めた2005年当時「ブログバトン」っていうアンケートが流行ってて、「PCで音楽を聴きますか?」という質問に僕は「まったく聴きませんし、データも入ってません」と回答したのだ。夢のようである。)

PC用のスピーカーを備えていなかったので、筐体にくっついているプアな出力装置で聴いていたわけだが、意を決して小さなスピーカーを買ったんである。これ。

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小さいでしょう。でも優れている。

NuForce(ニューフォース)という会社の"Cube"というポータブルスピーカーで、価格は12,000円くらい。いろんなソースを試してみたけれども、並の2chスピーカーよりよっぽど生々しい鳴り。5cm四方の立方体なのにちゃんとUSB-DACもヘッドホンアンプも付いてて、高性能なのだ。はっきり言っていい買い物をしたと思う。

こいつの(まあもちろん、それほどは広くない)指向性に合う位置に耳を持ってくるか、あるいはこいつの向きを調整してやると、意外に豊かな音楽が聴こえてきて驚くことになる。潔癖で知的なサウンド。ソースがモノラルだとさらに威力を増して、戦前のワルター/VPOのモーツァルトなんか最強にうまくノる。

これを教えてくれたのは某百貨店に勤務する友だち。どうもありがとう。
by Sonnenfleck | 2012-12-29 18:46 | 精神と時のお買い物

毒の沼地の二丁目:さよならオカルトこんちはデカルト

AV環境大手術を控え、秋葉原のオーディオショップの門を叩いたわたくし。STAXのSRS-4040Aで、3枚のCDを試聴させてもらうことになったのです。
1. ラモー:クラヴサン曲集(AVIE) *ピノック
2. バッハ:アリア集(ARCHIV) *コジェナー
3. ショスタコ:交響曲第13番(DECCA) *ショルティ/CSO
+ + +

1. ラモーと反オカルト主義オーディオの出会い

これまで長い間、オーディオ趣味というのはオカルト半分だと思っていた。より正確に書けば、微細な差異が聞き分けられるほどの耳は持っていないから、安い機器で全然問題ないと思っていた。

ところがどっこい、4040Aを通して開いた世界には、明らかに僕の耳でもわかるくらい、本当に信じ難いような広大な音場が広がっていたんですわな。クラヴサンが揺らしているのが無色透明の空気なのだということ、そして、適切に録音されたクラヴサン音がヒステリックな金属音とは無縁なこと、これを身を以て体感しました。オーディオはオカルトじゃなかったんだ。納得した。

ミクロ的には、《一つ目巨人》が格好の聴き込み対象になったのだが、29小節めから左手が連打するD音(たぶん)に痺れた。4040Aだと、太くて長い弦がボン...ボン...と鳴っている様子が明らかにわかったのですが、今これを書きながら自宅のATH-A500で同じD音を聴いてみると、弦がティンパニのようにお化粧されているのがわかってしまった。衝撃的。

2. ネオこじぇなま

コジェナーの声質がひゅうっと透き通ってしまったのもショックでした。
もっと重たい声の人で、時には茶褐色で塗り潰すようなこともすると思っていたけれども、それが4040Aでは高音方向にすっと抜けて涼しげな雰囲気に。
その上でさらに恐ろしいことに、まるで自分の背後で歌われているような、エロティックな生々しさを伝えてくるからたまらない。STAXは女性ヴォーカルが凄い、という情報は聞いていたけれども、ここまでとは。

僕の聴く機会が最も多いと思われる古楽合奏は、一本一本の楽器にマルチで焦点が当たっているような、これまでに聴いたことのない様子になっている。
この状況は生にとても近いが、人間が意識的・無意識的に焦点をずらしながら擬似マルチづくりに励むのに対して、4040Aは自らご丁寧に分離してくれるので、慣れないうちはひょっとすると情報量が多すぎて目が回るかもしれないなあ、という危惧がなくはない。

3. 《バービィ・ヤール》、STAXで聴く大交響楽団について

心配だったのが、モダンのフルオーケストラのショスタコーヴィチがSTAXでどのように鳴るのか、という点でした。
以前STAXについて触れたエントリで、コメント欄で「ちょっと役不足」という指摘もいただいていて、先に試したラモーとバッハの様子からしても、フルオケには似合わないかも、という予感があり。

実際のところ、確かに押し付けてくるような音圧は期待すべくもない。このショルティの録音はもともとスマートなコンディションのようだけども、それでも団子状の分厚さはまるでない。
しかし、覚悟していたほど物足りないかというと、僕はそこまで気にならなかったなあ。高い方と低い方の輪郭がくっきりして、なおかつ奥行きが出ているので、果物や野菜で満腹になるような、そういうヘルシーな満足感があった。それは逆に、ロジェストヴェンスキー/文化省オケの交響曲全集とか、マキシム/ボリショイオケの劇音楽集とか、露悪的なコンディションのソヴィエト録音たちは、4040Aでは大きく割りを食うかもしれないということでもあるけど。。

こちらも、ミクロ的に、第2楽章〈ユーモア〉の冒頭を聴いてみた。金管楽器の英雄的な輝かしさは、これまでのヘッドホン試聴ではついぞ感じたことのない印象だったし、木管楽器が(やはりバッハと同じく)マルチ・フォーカスとでも言うような立体感を伴っていて、不思議でした。で、アレクサーシキンはコジェナーと同じく、エロカッコイイおやじに大変身(笑)

+ + +

さて総合的に振り返ると、STAXが幅広い支持を集めていることには、同意せざるを得ない。
今回の持ち込みソフトはいずれも90年代中盤以降のデジタル録音ばかりだったので、もし次の試聴の機会があれば、もう少し状態の悪い録音も試してみたい。それから、、モノラル録音が物凄いことになる気もします。

「三丁目」に続く。
by Sonnenfleck | 2010-06-11 23:39 | 精神と時のお買い物

毒の沼地の一丁目:ここが沼地の入口

5/30夜、自室のTV(東芝15型フラットテレビデオ、ブラウン管、2002年製)から異音。ついに壊れた。よく丸8年も無事に駆動し続けた。偉い。
しかし感傷に浸る間もなく。
前々から、アナログ放送の終了、もしくはTVの寿命が尽きたところで、音楽鑑賞もオーディオラックも含めたAV環境を完全に一新しようと思っていたんですよ。いよいよこの時がやってきた。大手術になりそう。

TVのほうはそんなに選択肢があるわけじゃないし、すでに目星もついているので、また別の機会に書きましょうか。今回のエントリでは、本丸の音楽鑑賞システムについて。

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告白しますが、僕の現在の音楽鑑賞の環境というのは、ソニーのCMT-J3MDというミニコンポ(たぶん1998年製)に、オーディオテクニカのATH-A500というヘッドホンをつないだ、たぶんクラヲタの皆さんからはひどくお叱りを受けるようなお手軽セットなんです。
ミニコンポ自体はもう10年以上現役なので愛着も深いものがありますが、静かな余生のために引退してもらい、CDプレイヤーとヘッドホンだけの、新しいシステムを組むことにする。スピーカーも買わないから、普通のアンプも買わない。

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c0060659_22453929.jpgまずは秋葉原のオーディオショップに行って、STAXを試聴させてもらうことにしました。情報収集の段階から、恐らく自分の聴く音楽に最適なのはSTAXであるとしか思えず。
しかし、おっかない老店長に「こわっぱが生意気じゃ!」とか言われそうで(偏見)、ビクビクしながら入店。オーディオショップってどうしてあんなに入りにくげなのか。メイドさんにビラでも配らせたら。

店員の方に経緯を説明して相談を持ち掛けると、非常に丁寧に応対してくれる(まあそりゃそうだわな)。ラックスマンのすんごい高そうなプレイヤーにSRS-4040Aをつないでくれ、こちらが用意していったCDを掛けさせてくれます。

用意していったのは以下の3枚。こうやって並ぶとまるで違う音だよねえ。
1. ラモー:クラヴサン曲集(AVIE) *ピノック
2. バッハ:アリア集(ARCHIV) *コジェナー
3. ショスタコ:交響曲第13番(DECCA) *ショルティ/CSO
で、結果、どうだったか。次回「二丁目」に続く。
by Sonnenfleck | 2010-06-08 22:46 | 精神と時のお買い物

耳の黄金比率

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昨日の今日ですが、iPodのために新しいイヤフォンを買ったのですよ。

2年以上使っていたaudio-technicaのカナル式普及品が断線してから、クルマでの移動が多かった名古屋ではイヤフォンに投資する気が起こらず、iPodの付属イヤフォンでごまかしてたんですね。
あの付属品も案外抜けがよくって人が言うほど悪くないんですが、左右の耳の穴の形が若干異なるせいなのかどうも左チャンネルの嵌まりが悪く、そのために脳内定位が右寄りになって物凄く気持ち悪かったんです。

で、昨日ビックカメラに走ってカナル式の製品を眺める。格段に選択肢が増えてるのに驚きますが、だいたい予算は10K円くらいで、その価格帯の製品を試聴してみました。
かつて憧れていたSHURE製品は、あの環境での試聴ですが、ちょっとシャリシャリ感が先に立ってしまってて意外なガッカリ。チェンバロを巧く聴かせてくれないことには。。
筒が木製のVictor製品も持つ喜びを刺激しますが、見た目とは裏腹にやはり金属的な響きに終始する。

結局、またaudio-technica製品、ATH-CKM90に当たりをつけました。
ずーーーーっとヘビロテの、

・バッハ:協奏曲集(DHM) センペ/CS
・L.クープラン:クラヴサン作品集(Alpha) センペ

がよく聴こえたのが決め手かなあ。特に後者、イ短調組曲のクーラントの粒立ちをよく表現しているのが素晴らしい。これで実現する豊かな痛勤ライフ。
by Sonnenfleck | 2008-12-14 09:21 | 精神と時のお買い物