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桃山・江戸絵画の美@徳川美術館

尾張徳川家名古屋別邸跡に位置する徳川美術館は、アクセスにやや難があり(東京都現代美術館といい勝負)、しかも「美術館」というよりは「観光スポット」みたいな位置づけなので、微妙に行きにくいです。大曽根駅からの街区も実に白々しくて、気分も高まりません。。

でも、尾張徳川家に伝わっていた美術品・工芸品が散逸することなくそのまま倉庫に入ってるわけですから、所蔵品が凄い。今回の企画展「桃山・江戸絵画の美」では、徳川美術館が誇る近世絵画の名品がずらりと(遠慮なく)並んでいて溜息が出ました。
もっと宣伝したらいいのにな。
他の美術館における企画展のメインになりそうな逸品だけが集まって展覧会を成しているので、さながらルツェルン祝祭管弦楽団といったところでしょうか(その豪華さを厭う人がいるだろうなという意味でも)。僕はルツェルンのオケ、好きですけどね。

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というわけで、Vaトゥッティの中にいるヴェロニカ・ハーゲンに萌えようか、ズーン教授のFlに耳を傾けようかという贅沢なひとときなわけです。円山応挙の透明な《鯉亀図風炉先屏風》、金緑色に輝く田中訥言《百花百草図屏風》などはアカデミックな優美さに溢れていましたし、一面茶色に褪色した歌川国芳《人をばかにした人だ》は第13代当主・徳川慶臧の副葬品であったらしく、なかなかオカルトなオーラを纏っております。。若くして亡くなった慶臧はこの一枚を大変好んでいたということで、、いやいや、、掘り返したらダメだろ…。

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いろいろと目移りしたんですが、じわじわと脳髄に来るような衝撃を受けたのが、上に画像をUPした伝岩佐又兵衛 《豊国祭礼図屏風》(重要文化財/17世紀)でありました。
六曲一双、左右合わせて12枚のパネルを埋め尽くす人人人。その数1000人とされる。
数えた人は偉い。

これほど多くの人物が描かれた画面はほかに見たことがないし、この画像のように遠くから眺めると、あまりにも厖大な数のためにあたかも「人」による平面的な装飾文様に見えてしまうけど、近寄って視るとすべての人物が恐るべき執念で細密に描き込まれてるんですよ。
横を通る外国人観光客が「Wow!!」と叫ぶのも、これは当然でしょう。踊る人、舞う人、人馬、料理人、虎、簾越しの男女、孔雀、門番、喧嘩、、と細かく視ていって、優に20分は張り付いていたんじゃないだろうか。
金色の雲と松の緑、社殿の朱色が、狂乱状態を不思議とひとつの方向にまとめています。騒がしいけど静か。こんなに異常な絵画をこれまで知らなかった無知を恥じるほかない。

5月18日まで。あ、終わってしまった。
by Sonnenfleck | 2008-05-22 06:38 | 展覧会探検隊